スマホ

心の平安は1日にしてならず

心に関する理論のいくつか

唯物論

心はどうあるべきかを考える上で,まず紹介したいのは唯物論。マルクスの資本主義を批判した考え方。「ナニワ金融道」の青木雄二は,高校卒業後,いくつかの仕事を転々として,漫画家になった。彼はこの作品で財をなした後,何冊か唯物論に関する著作を残している。それらは本業の漫画に比べると,申し訳ないがあまり読んでも感銘は受けない。ただ,唯物論は大きな力をもつということは感じた。20年以上,大学で仕事をしてきて,業績作りのための本は敬遠している。最近流行りの本や理論,キーフレーズなどだ。それらは,多くの人にもてはやされてはいる。だが欧米発のため訳本はわかりにくい。また,多くの本は業績作りの臭いがぷんぷんする。悪いことではないが,魅力は感じない。

マルクス

森田療法

心はどうあるべきか考えたとき,面白いと感じるのは日本人の著者の本だ。神田橋條治,森田正馬,安岡正篤。これらの精神科医や東洋思想家は,明治・大正・昭和時代に著作を残している人も含まれる。新しいものばかりをもてはやす風潮が好きではない。この中で,森田正馬について少し述べたい。よく知られているように,森田正馬は森田療法の創始者である。彼の著作集を読むと,森田の考え方は,かなり現実主義であることがわかる。もちろん精神科医であるから,個人の内面を軽んじる訳ではない。だが,神経症克服には事実本位を重視する。これは唯物論に通じるものがある。

事実本位とは

私も一時期,唯物論の考え方に影響を受け,人間の内面よりも事実を重視することに努めていた。しかし,この事実本位は心理学と相性が悪い。心理学で人間の内面を後回しにしたら,何も残らないからだ。人間の主観は,確かに厄介だ。肥大すれば,余計なことばかり考える。だが,人間の内面に意味がないというのは味気ない。森田は治療のために事実本位を唱えたが,彼の記述からは,人間の内面を軽んじる雰囲気はない。これをどうとらえたらいいのか。心はどうあるべきかということについて,森田はあるがままに任せよという。

SNS時代の病理

仮想現実の毒

少し思うのは,インターネットの世界のことだ。この世界は,実体がない。つまり,事実とはかけはなれている。しかし,重要性は高まっている。このインターネットの世界で,何かを満たそうとするとどうか。人とつながりたいとか,認められたいとか。インターネットの世界は,虚構である。インターネットを介したつながりが,である。特に匿名性というものが厄介な気がする。休日にインターネットで時間を過ごしていると,感覚がおかしくなってくる。インターネットは,森田のいう事実本位とかけ離れた感覚を増幅するのではないだろうか。仮想現実という言葉がある。メタバースという言葉もある。架空のネット空間は人を幸せにするだろうか?

仮想現実

ネット中毒の罠

SNS時代に,心はどうあるべきだろうか。私がインターネットを知ったのは,Windows95の時代だった。当時初めてインターネットを使ったときの感覚は,まさに「世界と繋がれる」というものだった。しかし,同時に簡単に切れてしまえるという感覚もあった。インターネットは匿名であり,回線を切れば再びつながることはないという世界だった。今はSNSで多少の匿名性は減っているが,あいかわらず関係は切れやすい世界だ。アカウントを削除すれば終わりだ。老眼もあってスマートフォン自体が,続けるのに辛くなっている。若い頃はそんなことはなかった。年をとると,小さな画面を見続けるだけで疲れる。そして,非現実のインターネットという世界の影響もある。インターネット依存とか,子どものスマホ中毒の影響はまだよくわかっていない点が多い。

他力本願の心得

私が思うに,インターネットやスマホがもつ非現実感の増幅は,メンタルの病的傾向を悪化させると思う。心地よいがゆえに,現実からどんどん乖離していくのである。気をつけねばと思いつつ,浸ってしまう。今更書く必要もないことだろうが。森田の言葉によると,事実本位というのは,「あきらめる」とか「往生する」という感覚に近いらしい。特に「往生する」は,なるほどなと思った。私たちは,何かに煩わされた後,「往生した」という。そういうとき,自分の力ではどうにもならぬという感覚がある。浄土宗の「他力本願」も同じである。悪い意味で使われるが,他力本願は自力を過信しないことだ。今のインターネットに浸るわれわれは,自我が肥大し,全く「往生」する瞬間がない。そういう本質的なところを振り返ってみるのもいいだろう。心はどうあるべきかの答えは,自分で何でもやれると思うなというものかもしれない。

仏陀と弟子

AI時代のメンタルヘルス

AIによるカウンセリング

私はChatGPTで結構よく悩みを相談する。心がどうあるべきか,ということに日々迷うからだ。AIは感情がないので,カウンセリングでいう共感は難しい。人間ではないので,表情もなく,受け入れてもらった感覚もない。カウンセリングが成立するにはちょっと難しいかなと感じている。AIによって完全に人間と同じようなカウンセリングが実施できることはないと思う。ところで,最近は様々なアプリが開発されていて,専門的な立場から心理的サポートの効果が得られるものもでてきた。

アプリでメンタルケア

『Awarefy』は,認知行動療法という,現在では世界で最も科学的エビデンスがあると評価されている心理療法を応用したアプリである。近頃はインターネットによるカウンセリングサービスも増えてきているが安くはない。インストール自体は無料だが,自分が最初にテーマ(イライラする自分を穏やかにしたい,など)を決める。

最後に心はどうあるべきなのか?

まずは,AIによるサポートが無制限に受けられるAIパートナープランがある。気が向いたときに自分の認知や感情を言語化していく。同時に,365日24時間,いつでも愚痴や悩み相談ができるAIチャットがある。もちろん最初は試しにAIサポートに上限があるベーシックプランでもいい。本当にメンタルがきつい人は,別の記事に書いたように通院を勧める。受診するのは抵抗があるなら,試してみる価値はあるだろう。心はどうあるべきか,の答えは日々の実践にある気がする。興味がある方はこちらから見てみてほしい。

【Awarefy】

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