マージンコールの嵐
いよいよアメリカを中心とした株式市場が大きく崩れ始めた。現時点でも恐怖指数は60に近づきつつある。日経平均は3000円近くの下落。下落の始まった先週末の時点ではビットコインは横ばいだったが,今日になって80000ドルを割り込んだ。ゴールドも横ばいで上がってはいない。債券のみが買われ,金利が下がりつつある状況。AIバブルがトランプ関税で弾け始めたというところだろうか。ニュース記事の中には,日米でマージンコールの嵐というものがあった。信用買いをしていると,追証が間に合わず,強制的にロスカットが行われている状況。まさに売りが売りを呼ぶ様相を呈してきた。アジアも欧州も全て例外なく株安。原油も60ドルを割り込む状況。円安から円高にシフトチェンジし,1ドル145円前後となっている。
アメリカ国内でデモの広がり
現在でもS&P500の先物は4%程度下げている。今晩のアメリカ市場は更に下げる可能性が高いとみる。トランプ大統領は,大方の予想と違い,市場が暴落しても相互関税を引っ込める様子は見られない。アメリカではたくさんの場所で,デモが起き始めた。現実に株安で資産が目減りしている人々のデモであろう。それでも引きそうにないところに,今の市場の恐怖が高まっている原因がみてとれる。相互関税の設定基準も不可解で,世界中の理解が得られていない中で,トランプ大統領は判断を変えようとしない。コロナやリーマンショックの前例からいうと,恐怖指数は80近くまで跳ね上がり,ズルズル下げていく流れになるのだろうか。もはやトランプ大統領は後には引けないかもしれない。すでに多くの資産を減らした国民は,トランプが引けば,さらに非難するだろう。

果実なき痛みの懸念
しかし,インフレはどうなるのだろうか。相互関税の継続によって,アメリカ国内の物価が跳ね上がるのはたやすく予想できる。政府は関税で収入が増えるかもしれないが,国民はさらに生活必需品にさえコストが上がって苦しむのではないか。正直,今アメリカに住んでいなくてよかったと心から思う。もちろん日本にいても物価が上がっている中で,見通しは明るくないが。アメリカにいる人々は,トランプ大統領が語る,関税の成果としての果実が得られなかったとき,どのような集団の意思を示すだろうか。アメリカがもう一度豊かになる,というような見通しが実現しなかったとき,痛みだけが残る。私は,トランプ大統領の目論見は,ほぼあり得ないと思っているが,それだけにアメリカの人々が痛みをどのように経験するのかはとても気がかりだ。
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