耳学問の大切さ
座学と耳学問。大学で教えていると,自分が講義をすることに慣れてしまい,本などを通じた学問が当たり前と思うようになる。しかし,様々な経験を積んだ人物の語ることは,聞くだけで大変勉強になることが多い。例えば,私が好きな政治家に田中角栄がいる。汚職で晩年は評判が悪かったが,この人の生き方は好きだ。新潟の雪深い土地で中学校を卒業後,土建屋で資金を集め,政界に進出して,総理大臣に上り詰めた。毛沢東や周恩来と会談して日中国交正常化を実現した。金にまつわる汚職はまぬがれなかったが,事を為した政治家であったといえるだろう。
学者の問題点
事を為すというのは,学者には苦手な分野である。学会を眺めてみても,学者というのは議論には長けているが,決断力に乏しい人ばかりだ。視野も狭い。私の専門分野でいうと,公認心理師の国家資格ができても,あいかわらず職能団体は2つ並び立っているし,心理職の社会的地位向上は全く望むべくもない。心理学者の政治力,決断力,行動力のなさを象徴していると思う。何十年と様々な学会をみているが,どこも学閥や特定のグループでのつながりで融通し合っているだけの閉鎖的な組織だ。おそらくそこが学者には居心地がいいのだろうが,発展性はない。
心理職とAI
心理職については,他の対人支援職と同様に,おそらく確固とした職業的地位の確立につながることはないだろう。職能団体は,複数間で主導権争いをしているだけだ。そして,現場の心理職は,恩恵を受けることはない。国全体の状況と変わらない。今の世界情勢でいっても,インフレで庶民は苦しみ,政治家や富裕層は株価や国の経済統計しかみていないではないか。AIは驚異的な発達をみせている。アメリカ心理学会が特定のアプリに懸念を示しているが,ポジショントークに過ぎないと思う。今はインターネットカウンセリングに係る心理職も増えてきているが,おそらくこれからはAIがカウンセリングの主要サービスを担う時代がくる。
心理職の未来
心理職はそれらをマネジメントする役割が求められるだろう。数も淘汰されよう。何よりも,心理職の関係団体はAIによるカウンセリングビジネスを形にすることが求められると思うが,おそらく倫理的問題がどうのこうのといって,何もしないと思う。私はそのうち,こうしたビジネスを立ち上げたい。出口確保やその見通しをもたずして,この分野の未来はない。学会やえらい人々には期待していない。
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