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不摂生で肥満に
私は20代半ばから不摂生な生活がたたって太り始めました。50歳になった去年まで体重が85キロぐらいありました。身長は168センチですから,BMI=30ですね。肥満(2度)にあたります。
甘い物大好き
甘いものが大好きで,例えばチョコレートがついたビスケットなんかが大好物で,一箱すぐ食べてしまっていました。ポテトチップも大袋を気づいたら空にするのが日常茶飯事でした。コーラも大好き。さすがに中年になってからゼロコーラに変えましたが,コーラって飲むと食欲が刺激されるので,甘いものとか食べたくなるんですよね。お菓子はストレス解消のためでもありました。嫌なことがあるとドカ食い。ブルボンのビスケットなんてとても大好物でした。ルマンドなんかも一袋ペロリ。ラムネも大好きで,ブドウ糖は脳の働きを活性化させるからと言い訳して,Amazonで一箱買いして毎日食べていたこともあります。肥満になるわけです。
暗中模索
一方,お酒は飲めないので,それで太ることはありませんでした。しかし,この体重は30歳ぐらいからずっとでしたから,40歳あたりから,職場の健康診断では,脂肪肝,高コレステロール,高血圧と「要医療」のメッセージ付きで通知が毎回来ていました。何回か病院に行ったことがあります。健康診断の結果をもっていくんですが,だいたい肥満を治療してくれるのがどの専門医かわからない。これは非常に困りましたね。健康診断で治療しろと言われ,病院では薬はない,運動しろといわれる。そして運動はなかなか効果が出ず,長続きしない。
病院での肥満治療
仕方がないので近所の内科を受診しました。最初いったところは,老人ホームを併設しているような病院で,医師は「やせるしかないですねえ」というだけ。薬もないから食事に気をつけて運動してくださいというだけ。それができてたら病院にこないよ!で,別の病院にいっても同じようなことを言われるだけで何の治療にもなりませんでした。3つめの内科では,一応血圧を下げる薬を飲みましょうかということになって,血圧計を買わされて,毎日測定しながら,血圧の薬を飲むことに。しかし,体重は全然減らないし,健康診断の結果も全然よくならないので,その病院も行くのやめました。
諦めの時期
それで肥満の治療なんて無理だなと放置して,毎年健康診断で同じような「要医療」という通知をもらいながら,あきらめの境地で過ごしていました。少しだけダイエット頑張った時期もありました。ゲームが好きなんでスマホのドラクエウォークにはまって,2年ほど毎日散歩してました。でも甘いものは相変わらずドカ食いするので,体重は結局減らないし,ゲームも飽きて歩くのもやめました。ああ,自分は早死にするだろうなあ,家族に悪いなあと漠然とした不安をもちながら,ストレスを解消するにはお菓子を食べるのやめられないしなあというような気持で過ごしていたと思います。
保険適用開始
ところが2024年の3月頃だったと思います。ニュースで肥満治療薬のウゴービが日本でも認可されそうだというのを知りました。薬を飲むだけで肥満が治療できるというのはとても魅力的でした。何より20年以上,悪い食生活の習慣のせいで肥満だった自分には,それまでと全く違う方法じゃないと,やせることなんて無理だろうと思っていました。最初は肥満治療薬の仕組みも全然知りませんでした。何か自分で注射を打って治療するらしいことを知っていたぐらいです。
ゲームチェンジャー
今までと全然違う対処法に,「これはいけるんじゃないか?」と直感しました。それで,ネットで調べてウゴービが認可されるのは少し先の話で,もし処方してもらおうとしたら,資格を満たした医師がいる病院でなければいけないことを知りました。私の住む地域だと車で30分ぐらいのところにある少し遠い病院があてはまりました。それと治療を受けるには,糖尿病外来で検査を受け,要治療診断が必要とのこと。
患者で溢れる病院
なので,私は休みの日の土曜日に予約をとりました。そして,朝から満員の病院に並びました。長い長い待ち時間を何回も我慢しました。たくさんの糖尿病外来の検査を受け,夕方になってようやく医師の診察を受けました。すると,朝ごはんを食べてきてるから,今日の検査だけじゃ不十分だといいます。「血糖値スパイク」という検査を別の日にやらないとだめとのこと。「そんなこと予約受付のときに説明しといてくれよ!」と内心腹が立ちました。1週間後,またその病院に行きました。専用の甘いサイダーを500ml飲みます。その後,30分おきぐらいで2時間かけて3回の血液検査です。血糖値が正常に下がるか検査したのでした。
転機
当然,糖尿病予備軍といわれるぐらいだったので,良い結果ではありません。それでふたたび長い待ち時間のあげくに医師とようやく診察です。「ああ,これだとウゴービじゃなくても糖尿病の初期治療でいいかもしれないな。マンジェロとかね」という言葉。で,「じゃあ,グループ病院が近所にあるし,転院してもいいな」と思いました。
近所の病院へねじ込む
しかし,帰りの車の中でとても腹が立っていました。遠い病院までわざわざいって,予約時間から1時間から2時間遅れは当たり前でした。検査のたびにさらに待たされ,満員の待合室で息が詰まる。幸いこの病院にはグループがあって,近所にもう一つ系列病院がありました。ここはウゴービ処方の資格はありませんが,糖尿病治療なら普通にできます。私はすぐにそちらの病院に電話して,かなり強く糖尿病外来を受診したいと言いました。また,今の病院の医師から,普通の糖尿病治療でいいといわれたと言いました。
再び糖尿病外来へ
それで予約がとれ,さらに1週間後に近所の系列病院の糖尿病外来に行きました。できたばかりの病院でもあり,患者も少なく待ち時間はほとんどなし。すぐに新しい医師の診察を受けました。先生は前の医師が丁寧に検査をしていたことを説明してくれました。そして,肥満治療薬を保険適用で受けられることを教えてくれました。先生はパソコンのタイピングが早く,信頼できる感じがしました。それで「マンジェロを自己注射でまずは1か月やってみましょう。最初は2.5mgからね」ということになりました。そして,併設薬局で1か月分,週1回1本で4本を受け取りました。
マンジェロの仕組み
検査込みの診察料と注射代で合わせて7000円ぐらいだったかな。思ったより費用は安く済みました。マンジェロはGIP/GLP-1受容体作動薬といいます。簡単にいうとインシュリンの分泌を促す効果があるそうです。私たちが糖尿病の治療でイメージするのは,インシュリンそのものを注射する治療です。しかし,マンジェロは分泌を促すだけなので,体重が減れば,やめることができます。ずっと注射を打ち続けなくてもよいのです。それで家でマンジェロをおなかに消毒した上で自己注射します。詳細はこちらの個人病院の説明が参考になりました。
副作用の体験
痛くもなんともないですね。ボタンをおして,自動的に薬液がおなかに注射されます。時間も数秒で終わりです。注射したら空の容器はためておきます。家庭ごみで捨てられないからです。次の診察時にまとめて看護師さんに渡して廃棄してもらいます。で,副作用ですが,最初は吐き気がします。それと,げっぷがしょっちゅうでたり,とにかく食べたくなくなります。そして眠い。2,3日したら少しマシになります。でも,やはり吐き気やおなかが膨れた感じ,便秘,眠気が続きます。
2回目の自己注射
2週目の注射も少し最初よりはマシでした。しかし,やはり胃腸の不調感があってご飯もあまり食べたくないんですね。お通じもなかなか出ません。腸の働きも悪くなる感じです。お腹が張ると,本当に不快ですね。おまけにげっぷが出るような,胃の不調もあるし。しかし,甘い物を食べたくなくなる自分の変化に気づいていました。
3,4回目の注射
3週目,4週目と続き,とにかく我慢して次の診察日に医師のところに行きました。栄養士さんにもらった紙に体重のグラフとその日食べたものをメモしていました。ピーナッツとかヨーグルトとかゼロコーラとかとにかくいろいろと間食をしていました。ただ,チョコレートとか糖分が多いものは避けながら。体重はそんなに劇的に減りません。
2~3か月目と薬増量
2か月目は5㎎に増やしました。今度は2か月間。薬液の量が倍になった分,最初の副作用はもっときつかったです。家族は私を心配していたそうです。食欲がなくて実際に食べる量が減っています。顔色も悪く,寝てばかりいるわけです。しかし,2か月目,3か月目と週1回注射を打ち続けました。間食は減っていきました。食事さえ食べる量が減るので,間食も減るんです。毎日,食欲不振,胃腸の不調感,易疲労感があります。そのなかで仕事は最低限続けながら,体重がどんどん落ちていきました。85キロから77キロあたりに落ちたと思います。これはめちゃくちゃ不調感はあるけど本当に体重が落ちるなと確信しました。
4か月目~目標達成
それで4か月目には1か月同じ50mgで続けました。そして,1か月経って,当初の目標体重である70キロまで減量できました。BMI=28でギリギリ肥満でないラインだったので医師と相談の上決めていたのです。5か月経って診察を受けたとき,体重を計った看護師さんが驚いていました。15キロも減っていたので。医師はとてもがんばったとほめてくれました。とりあえず目標体重に達したので,そこでマンジェロの自己注射はいったん終了です。やめた後,特に離脱症状のようなしんどい感じはありませんでした。少しずつ食欲とか胃腸の働きが元に戻っていく感じでした。
20年ぶりにほぼ異常なし
その1か月後の夏,職場で健康診断がありました。結果は20年ぶりに,ほぼ全て異常なしです。我ながら達成感がありました。今は,72キロ~73キロをうろうろしていてます。でも妻の協力もあってできるだけ糖分が少ないものを選んで食べています。ただ,楽をして減量はできないなというのはよくわかりました。5か月の間,ひどい心身の不調感に耐え,時々研究室で昼寝してました。そういう職場環境で何とか仕事して,体重が減ったという感覚です。
肥満治療薬も選択肢の一つ
もし,肥満を治療したいと思っている方がいたら,これは1つの選択肢お勧めです。相当な副作用で体の不調感を我慢する日々が結構続きます。ですが,その代わりに以前とは驚くほど違う体の細さが手に入ります。ただ,メンタル面では,甘い物を控えなければというプレッシャーはすごかったです。ズボンがLLからLになって買いなおしましたから。少しでも多くの方が,肥満治療に成功していただけたら幸いです。
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